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そんなにスペックって大事? PAGE2

ผู้เขียน: 日暮ミミ♪
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-20 08:30:40

 ――彼は本当に代々木駅で一緒に電車を降りてくれて、駅から徒歩十分のわたしが住む賃貸マンションのエントランスまでちゃんと送ってくれた。途中でいつ宮坂くんが現れても大丈夫なように、周りを警戒しながら。

「……もう、ここまで来れば大丈夫だな。今日はお疲れさん。じゃ、また明日な」

「あ……、うん。わざわざ送ってくれてありがと。じゃあ、また明日」

 わたしはマンションの中へ入って行こうとしたけれど、そんなわたしを彼が「あ、ちょっと待って」と引き留めた。

「なに?」

「明日から、毎朝待ち合わせするか? 代々木駅で」

 わたしは少し悩んだ。そりゃ、そうしてもらえるならわたしも心強いしありがたいけれど、そこまで彼に甘えるのは申し訳ない。恋人同士だというならまだしも、わたしと入江くんは友だちなのだから。

「ううん、そこまで甘えるわけにいかないよ。わたしは大丈夫だから、会社で会おう?」

「そうか? ……うん、お前がそう言うんなら。じゃあ、今日はゆっくり休めよ。また明日な」

「うん。社会人初日、お疲れさま。……お互いに」

 入江くんは「おう」と頷き、今度こそ駅まで戻るために歩いて行った。

「今はこれでいいんだよ、麻衣。だって、入江くんは大事な友だちなんだから」

 ストーカー問題は、あくまでわたしと宮坂くんとの問題だから。入江くんを極力巻き込みたくない。彼には気が優しくて力持ちな金太郎さんのままでいてほしいから。

  * * * *

 わたしの部屋はこのマンションの四階の
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  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   そんなにスペックって大事? PAGE2

     ――彼は本当に代々木駅で一緒に電車を降りてくれて、駅から徒歩十分のわたしが住む賃貸マンションのエントランスまでちゃんと送ってくれた。途中でいつ宮坂くんが現れても大丈夫なように、周りを警戒しながら。「……もう、ここまで来れば大丈夫だな。今日はお疲れさん。じゃ、また明日な」「あ……、うん。わざわざ送ってくれてありがと。じゃあ、また明日」 わたしはマンションの中へ入って行こうとしたけれど、そんなわたしを彼が「あ、ちょっと待って」と引き留めた。「なに?」「明日から、毎朝待ち合わせするか? 代々木駅で」 わたしは少し悩んだ。そりゃ、そうしてもらえるならわたしも心強いしありがたいけれど、そこまで彼に甘えるのは申し訳ない。恋人同士だというならまだしも、わたしと入江くんは友だちなのだから。「ううん、そこまで甘えるわけにいかないよ。わたしは大丈夫だから、会社で会おう?」「そうか? ……うん、お前がそう言うんなら。じゃあ、今日はゆっくり休めよ。また明日な」「うん。社会人初日、お疲れさま。……お互いに」 入江くんは「おう」と頷き、今度こそ駅まで戻るために歩いて行った。「今はこれでいいんだよ、麻衣。だって、入江くんは大事な友だちなんだから」 ストーカー問題は、あくまでわたしと宮坂くんとの問題だから。入江くんを極力巻き込みたくない。彼には気が優しくて力持ちな金太郎さんのままでいてほしいから。  * * * * わたしの部屋はこのマンションの四階の

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     ――二時間ほど三人で歌いまくって、わたしたちは同じ山手線の電車で帰ることになった。佳菜ちゃんは上(うえ)野(の)の方に住んでいるらしく、上野駅で降りていって、入江くんと二人が車両に残った。「――矢神は代々木(よよぎ)で降りるんだったよな。オレも一緒に降りるから。お前のマンション駅近だし、そこまで送ってくよ」「えっ? 入江くんって品川(しながわ)の方に住んでるんじゃなかったっけ? いいの?」 それなのに代々木で一緒に降りてしまったら、後からまた電車に乗り直さないといけない。二度手間になってしまうのにいいのかな……と思った。「宮坂(アイツ)が近くまで来てるかもしんねえから、一応ボディーガードな。だからそんな気にすんなよ。オレが勝手にそうしたいだけだからさ」「あ……、うん。ありがと」 入江くんは体も大きくてムキムキだし、大学時代まではラグビーでタックルが得意だった。マンションの前まで送ってもらえるならわたしも心強い。「…………オレ、今朝はお前に『今の髪型可愛い。似合ってる』って言ったじゃん?」 彼が思い出したように、今朝のわたしとのやり取りを掘り返した。「うん、言ったね」「でもさあ、オレは髪切る前のお前の髪型も好きだったな」「…………えっ? 『好き』って言った、今?」 わたしが「好き」の一言に反応すると、彼はお酒も飲んでいないのに顔を真っ赤にしてうろたえた。「……あっ、『好き』って言ったのは髪型の話な! 断じて他の意味はねえから! ……うーんと、髪、もう伸ばす気ねえの?」「まだ切ったばっかりだからね。でも、放っといたらそのうちまた伸びてくるよ。そしたら、今度は短く切らない」「……そっか」 わたしが「髪はまた伸びる」と答えたら、彼は嬉しそうに頷いた。入江くんはもしかしたら長い髪の女の子が好みなのかもしれないから、そんな彼のためにもまた髪を伸ばそうとわたしは思った。「――ね、入江くん。佳菜ちゃんのことどう思う? 入江くんに気があるのかな?」 今度はわたしから話しかけるターン。わたしはさっきのカラオケボックスで感じたモヤモヤを彼にぶつけてみた。 佳菜ちゃんはイケメンがタイプみたいなので、入江くんは彼女の好みからちょっと離れているように見えるのに……。そう思うのはやっぱり嫉妬なのかな?「いや? そんな感じはしなかったな。オレ、どこをどう

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     歌っている間、入江くんと佳菜ちゃんが親しげに話している姿が目に入ってきて、わたしは何だかモヤモヤした気持ちになっていた。 ……これっていわゆる〝嫉妬〟? 二人は今日が初対面だし、入江くんにも佳菜ちゃんにもその気がないことはわたしも分かっているけれど……。「……ふぅ~~、疲れた~!」 歌い終わったわたしはもうヘロヘロになっていて、声も若干嗄(か)れかけている。「麻衣、お疲れさん。喉渇(かわ)いたでしょ。これ飲んで少し喉休めな。あたし、一人で歌える別の曲、割り込みで入れたから」「うん、ありがと……」 わたしは佳菜ちゃんが勧めてくれたグラスのウーロン茶をガバッと一気に三分の一くらい呷(あお)った。ちなみに、ゴハンの時もカラオケに来てからも、三人ともお酒は飲んでいない。わたしはお酒に弱いし、明日も出勤なので酔い潰れている場合じゃないからだ。佳菜ちゃんはメロンソーダで、入江くんはコーラを飲んでいる。「――じゃああたし、歌ってきま~す♪」 佳菜ちゃんが歌いに行って、ソファーではわたしと入江くんが二人きりになった。もしかしたら彼がわたしのことを好きなのかも……と思ったら、何だかイヤでも彼

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    「でも、『絢乃さんを助けたい』とか『守りたい』って気持ちだけは誰にも負けなかったなぁ。……あ、矢神さんもSNSで見た? 桐島くんがイケメン俳優を蹴り飛ばした動画」「はい、見ました。桐島主任って、何か格闘技やってらっしゃるんですか?」 よっぽど大柄な人でもない限り、何もやっていないのにあれだけのキック力があるっていうのはあり得ない。そう考えるのが自然だと思う。「うん。去年の夏ごろからキックボクシングを習ってるらしいよ。それも会長を守るためなんだって」「へえ……、そうなんですね。大切な人を守るためにそこまでできちゃう主任って、やっぱりカッコいいです」「ねえ、矢神さんにはホントにそういう人いないの? でも、あなたのことを守りたくて頑張ってる人なら身近にいるんじゃない?」「え……?」 小川先輩にそう言われて、どうしてだかパッと頭に浮かんだのは入江くんの顔だった。そして、エレベーターで佳菜ちゃんに言われたあの言葉。 ――『麻衣はともかく入江くんは絶対、麻衣に気があるよね』――…… やっぱり佳菜ちゃんの言うとおり、入江くんはわたしのことを……?「…………矢神さん、どうかした?」「……えっ? わぁぁっ!? しゅ、主任! いいいえ、なな何でもないですっ!」 心配して声をかけて下さったのは小川先輩だと思ったら桐島主任だったので、わたしは思いっきり動揺して慌てふためいた。「なんか、二人で僕のことを話してるように聞こえたんだけど。違いましたっけ、先輩?」「ああ、大丈夫よ桐島くん。あなたのことを話してたのは事実だけど、悪口は何も言ってないから。ね、矢神さん?」「あー……、はい。わたしも主任みたいな秘書になりたいなぁって言ってただけです」 小川先輩が主任のことを「ポンコツ」と言っていたことは、お二人の先輩後輩の関係を悪化させないためにも言わないでおこうと思う。……ちなみに、さっきまでの会話の内容までは、主任の耳には入っていなかったらしいのでホッとした。「そっか。僕に憧れてくれてるんだね。ありがとう」「ああ、いえ。そんな……」 小川先輩から聞いた主任のエピソードから、「秘書にとっていちばん大事なのはボスへの〝愛〟」という意味がわたしには少し分かった気がした。 そして、こうも考える。もし入江くんが本当にわたしのことを好きなら、彼はわたしを宮坂くんから守る

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     ――午後からは、実際に主任や先輩たちが秘書として働いているところをメモを取りながら見学させてもらうことになった。 会食のお供で会長と外出し、戻ってきていた桐島主任は給湯室で、お茶やコーヒーを淹れるところをわたしたち新人に披露して下さったのだけれど、それがすごくサマになっていてカッコいい。たかがお茶くみ、されどお茶くみ。これも立派な秘書の仕事なんだと改めて感服した。「昔は『お茶くみは女子の仕事だ』って言われてたものだけど、それって『女はお茶くみをやるくらいしか役に立たない』って意味だとは僕は思ってないんだ。ちゃんとこだわりやプライドを持ってやれば、これも立派な仕事になる。……まあ、僕自身が昔バリスタを目指してたからでもあるんだけどね。だから、お茶くみを軽々しく考えてもらいたくないんだ」「主任、バリスタ志望だったんですか? カッコいい……」 わたしは思わずこの人が黒いエプロンをして喫茶店のカウンターでコーヒー豆を焙煎(ばいせん)している姿を想像してしまい、心の声が漏れてしまった。「うん、高校生くらいの頃の話だけどね。……そんなにカッコいいかな」 主任は少し照れているように見える。こういう姿を「カッコい」と評されることはあまりないのだろう。「はい。どんな仕事にも真摯に向き合ってる姿、わたしはカッコいいしステキだと思います。それだけプライドを持って取り組んでらっしゃるんだな、と思って」「ありがとう、矢神さん。会長にもよく言われるよ。……コーヒーとかお茶ってね、けっこう奥が深いんだ。お出しする相手によって、好みも様々だから。濃さや温度、

  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   ただの友だち……だよ? PAGE1

    「桐島さん、なんであんなに強いのかなー? 何か格闘技系やってるとか、麻衣は何か聞いてる?」 佳菜ちゃんはズバリ、わたしが今感じたのと同じ疑問を口にした。やっぱり彼女はわたしと友だちになる運命だったのかも。ちょっとシンパシーを感じてしまった。「ううん。だって、まだそういう踏み込んだ話は聞いてないもん。でも、小川先輩に訊いたら教えてくれそう。あとは……会長への愛なんじゃないかな」「愛、ねえ。あたし、まだそこまでできるような相手には出会えてないわー。麻衣もでしょ?」「うん……」 実はすごく恥ずかしいのだけれど、わたしはこの二十三年間でまだ一度も本気で恋をしたことがないのだ。たとえば、クラスメイトのイケメンの男の子を「カッコイイな」と思ったことはあるけれど、その程度。それが恋なのかどうかはわたしにも分からない。「でも、あたし思うんだけどさぁ。麻衣はともかく入江くんは絶対、麻衣に気があるよね」「…………えっ?」 わたしはまたビックリして、佳菜ちゃんを二度見した。というか、もし本当だったら、今日初めて会ったばかりの佳菜ちゃんにまで見抜かれてしまう入江くんの分かりやすさって……。「それは……、わたしもだいぶ前から何となく気づいてはいたけど。そんなんじゃないと思う。入江くんがわたしに何かと世話を焼いてくれるのは、ただわたしが危なっかしくて放っておけないからで」「そうかもしんないけどさぁ」「わたしと入江くんは、ただの友だちだよ。少なくともわたしはそう」 今までだって、わたしと彼はそういう距離感でやってきたからうまくいっていたのだ。彼のわたしへの気持ちを知ってしまったら、そして、わたしも彼に恋心を抱いてしまったら、その絶妙な距離感が崩れてしまいそうで怖かった。「……う~ん、麻衣がそこまでキッパリ言うなら、あたしもこれ以上はツッコまないことにするよ。外野のあたしがやいやい言うことじゃないしねー」「うん……。佳菜ちゃん、ゴメンね。気を悪くしちゃったかな」「ううん、そんなことないよ。気にしないで。――あ、あたしここだから降りるわ。じゃあ、また後でラインするね」 気がついたら、エレベーターは三十階に着いていた。「うん。じゃあ、午後のお仕事もお互いに頑張ろうね」 わたしがそう言うと、彼女は軽くファイティングポーズをしてエレベーターを降りていった。「――入江

  • 恋のフレッシャーズ! ~等身大で恋しよう~   お仕事スタート! だけど…… PAGE8

    「――ところで入江くん。宮坂くんも就職してたら今日入社式のはずだよね? なのに、こんなにしょっちゅう電話かけてきたりメッセージ送ってきたりしてて大丈夫なのかな?」 わたしは佳菜ちゃんには聞こえないように、入江くんを彼女から離れた場所に手招きして訊ねてみた。「あれ、お前知らなかったのか。アイツさあ、今就職浪人中なんだよ。まあ、ロクに就活もしねえで好きな女追っかけ回してたらそうなるわな」「就職浪人……。そっか、なるほど。だから時間の感覚がズレてるんだ。でも、相手の都合とか考えないのかな。わたし、すごく迷惑なんだけど」 迷惑なのは事実だけれど、これだけ無視し続けると、さすがに知らんぷりを続けているわたしの方が悪いのかな、とも思えてきてしまう。「それを考えねえからストーカーなんだろ。アイツに常識が欠落してるだけで、お前は間違ってねえから気にすんなよ」「うん……、そうだね。わたし、自分も悪いのかなって思っちゃって」「お前はまたそうやって自分を責めるだろ。いいか、矢神。お前は何も悪くないから。むしろ被害者じゃん。そんな責任感じることなんかねえって。なっ?」「…………はい」 入江くんの含めるような言い方が何だか学校の先生みたいで、わたしは嬉しかったけれどちょっと笑ってしまった。「でも入江くん、どうしていつもそんなにわたしに優しいの?」 佳菜ちゃんのいるテーブルへ戻る途中、思いきって彼に訊いてみたけれど、彼は「……まあ、別にいいだろ」とごまかすだけだった。「あ、二人ともお帰りー。あたしだけのけ者にして、何の話してたのー? もしかしてラブラブなお話?」「……違(ち)っげえよ! そんな浮かれた話じゃなくて、矢神がス――」「あっ、別にそんなんじゃないの。ただ、佳菜ちゃんは大学が違ったから。ちょっと内輪の話をね」 わたしのストーカー被害の話を佳菜ちゃんにしようとした入江くんを、わたしは遮った。できることなら、この件に佳菜ちゃんまで巻き込みたくないのだ。「ふーん? ま、いいけど。なぁんだ、二人のラブラブ話じゃないのか。つまんない」「『つまんない』とは何だ。コイツはなぁ、お前みたいなお気楽じゃねえんだよ。重大な悩み事を抱えててだな――」「ストーーップ! 入江くん、その話はもういいから! これ、さっさと食べて仕事に戻ろ! ねっ!?」 今度こそ、わたしが抱え

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